コラム

セミナー発表しました!

チーム心リハ!の取り組み

 当院は、開院以来、救急病院として主に外科系疾患の患者さんを中心に診療してまいりました。一昨年より、九州大学病院の循環器内科から西坂先生と非常勤の内野先生をお迎えして、診療体制が整い、内科系疾患の患者さんも広く受け入れることができるようになりました。

 7月のコラムにある通り、昨年の11月より心大血管リハビリの運営を始め、今年の4月からは本格的に心リハチームを結成しました。これまでの心リハプログラムにエントリーされた患者さんは、70歳台、80歳台の方が多い状況で、実施件数も増加しています。入院平均在院日数は24.5日、再入院率は6.9%と低く、多くの方がお元気に外来通院を継続されています。

 当院は救急病院ではありますが、九州大学病院をはじめとする高度急性期病院、近隣のクリニックからもご紹介を頂き、多くの患者さんの、急性期から回復期を経て、在宅復帰、外来診療に繋ぐまでのサポートをチームで行っています。

 「木村病院 チーム心リハ!」は、診療科の紅一点、西坂先生をチームリーダーとして、リハビリテーション科を中心に、看護師(外来・病棟、地域医療連携室)、管理栄養士、薬剤師、MSWで結成された多職種チームです。元来の外科系疾患を得意としていた当院スタッフに、循環器疾患の複雑さ(奥深さ)の知識と経験が加わり、一人の患者さんを多面的に捉えて、多職種でアプローチできるようになりました。

九州大学病院連携セミナー発表

 10月25日に、「九州大学病院連携セミナー~在宅診療に求められる心不全の知識~」の開催にあたり、当院「チーム心リハ!」の取り組みを講演発表する機会を頂きました。

 「急性期病院から在宅/外来医療への復帰支援:急性期病院から在宅医療へのブリッジング」というテーマで、多職種チームによる関わりについて、地域医療連携室(看護師)、理学療法士、管理栄養士の3名で発表しました。

地域医療連携室より

「寄り添う支援(一貫した退院支援による再入院回避)」について 

 地域医療連携室は‘寄り添う支援‘を目指して、特に循環器疾患の患者さんについては、入院~退院~退院後の支援を一貫して地域医療連携室の看護師が行っています。

 ご入院後は、初期の段階から、ご本人・ご家族と面談やカンファレンスを度々行います。患者さんをチームの主役にお迎えして、医療者側からの一方的な説明や提案ばかりではなく、患者さんの意思や希望、経済状態、ご家庭の状況など様々な背景を共有し、公的な医療・介護サービスの制度をうまく利用し、患者さん・ご家族にとっての「ハッピー」、つまり、QOLを大切に考えて、すべての職種で解決できる方法を見つけていきます。そして、退院後の生活がある程度落ち着かれるまで、サポートをさせていただいています。

リハビリテーション科より

 「自宅での生活実現シミュレーション」について

 リハビリテーション科は、入院中に「自宅での生活実現をシミュレーションする」ことで多くの患者さんが安全に自宅復帰できるようサポートしています。PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)が積極的に介入しています。

 運動については、入院当初は意欲が低い患者さんも多く、自分から動きたい!と思っていただくための環境作りを大切にしています。「リハビリに来たら元気が出る!」と思って頂けるよう、スタッフ一同、みなさんのやる気スイッチを見つけます。試行錯誤してリハビリを行っていますが、これまでにリハビリが進まないという方はほとんどおられませんでした。体力・筋力をつけていく作業をしつつ、単なる動作の獲得にとどまらず、動作時のバイタルサインの変化、不整脈誘発はないかなど詳細に確認し、安全な方法を探していきます。

 ご自宅に伺う家屋調査も行い、患者さんの生活環境を理解し、退院後に心不全の増悪がなく、安心して生活が送れるよう、よくコミュニケーションをとって、一緒に考えていくスタイルでサポートをしています。

管理栄養部門より

 「Taylor Madeの栄養管理・栄養指導」について

 栄養科は、病棟担当制をとり、患者さんに寄り添った栄養管理に日々奮闘しています。当院では、対象患者さんについては、NSTチームによる栄養管理、多職種チームでの嚥下ラウンドを行っています。

 心不全患者さんの多くは食欲不振であるため、第一の取り組みはなんとしてでも食べていただくこと。食事量が安定して初めて、血糖値・尿量・排便コントロールが改善し、腸や肝臓からの栄養吸収による循環の安定が図れます。患者さん、ご家族ともよく話をして、ご家庭での食事内容の調査をおこない、自宅で実現可能な食事療法のレベルを考え、患者さんの生活を支える方々(ご家族、ケアマネジャーやヘルパー、訪問看護師など)へも提案します。

 「塩分制限食はまずい!」という印象を払拭したいと思い、「木村印の減塩カレー」を提供しています。栄養士としての想い、知恵と経験を活かして考案した、当院自慢のカレーは、「久しぶりにカレーを食べることができた!」という喜びの声と笑顔を頂いています。

 塩分制限食だから食べられないではなく、塩分制限食でも食べられる工夫。を伝えていきたいと思います。

セミナー発表を終えて感じたこと

 

 ひとつの講演で3職種がそれぞれ発表するという、珍しい形をとりましたが、それぞれの職種の想いや特徴、チームで関わることの大切さやパワーの大きさを伝えることができたのではないかと思います。また、福岡県内より多くの医療機関や様々な職種の方が参加されたとのことで、”心不全”のコントロールがいかに難しく、みなさんがそれぞれの立場でその困難さに立ち向かっておられることがわかりました。

 ”心不全末期に対する緩和ケア”が診療報酬改定にて認められたことも、注目度というところでも関心が高まっているのだと思います。

 当院での心臓リハビリはスタートしたばかりで、若いチームではありますが、多くの患者さんと出会い、末永くサポートしていけるよう精進したいと強く思いました。

社会医療法人社団至誠会 木村病院 地域医療連携室 宮川

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